ちょこっとタイムリープ

〔モデル 29才 女性〕
timeleap

別に病気というわけでもなく、心療内科に通わなければならないほどまいっている訳でもなかったのだが、確かにここ最近私が笑顔になることは少ない。

悩み、というものがあるわけではないのだが、うっすらと世の中が恐ろしくつまらないものになっていくのを私は確かに感じていた。仕事も、付き合っている彼氏さえも、あらゆるレジャーも。
とにかく「少し前までは色鮮やかだった世界が、霧に覆われているかのようにぼやけている」かのように感じるのだ。

これは一体、何?
こんな時は「なんでも知ってるお姉さん」キャラが必要だわ。
私は最近幼馴染から紹介されたBC30子さんに連絡をとった。


「ああ、よくあることだわね。でも、あなたの周りにそんなあなたの感覚に同意する人っていないんでしょ?」
事もなげに私の最大の悩みをBC30子さんは見破った。
「ええ、そうなの。まさしくそうだわ。」
先に言い当てられた私は、すっかり彼女の言葉に耳を傾ける姿勢にならざるを得ない。
「教えて欲しいの。この症状、というか現象は一体何なの?」
すると彼女は、まっすぐ私を見ながらストレートに言い放った。
「あなたは今『ゆっくりと絶望している』最中なのよ」と。


嗚呼、そうだわ。
確かにおっしゃる通り。
何に、というより目の前にあるもの全てに私は加減しながら絶望している最中なのだ。
それは、自分でも気づかないほどゆっくりと、さまざまな事を諦めている真っ最中なのだ。
抗おう、とする気持ちすら心の中に起こさせないように、静かに、確実に、少しづつ。
本当は自分でもうっすらとは気づいていたことなのだ。


「まあ、あなたも世の中に出て少し経ってるからね。ストレスがたまりにたまるのも自然な事だわよ。」
微塵も深刻さを感じない口調でBC30子さんは話し始めた。
「そういう時は、タイムリープだわよ。」
彼女の言によると、蓄積されたストレスが私の腸内環境を荒らしており、それが笑顔を曇らせたり敏感な反応を鈍らせたりといった結果を生んでいるらしい。
確かに私には思い当たるふしがあった。それは特定の事柄が引き金ではなく、今自分が生きている環境が呼び起こしているのだ。
そしてこの状況を個人的に改善するのは思いのほか簡単なのだそうだ。
腸内のバランスが整ってくると、脳と腸の相関関係により抗ストレスな感覚が立ち上がり、BC30子さんはそれを「タイムリープ」とたとえていた。
どうやら結果的に「あまりストレスをため込んでいない青少年期」に似通った感受性を獲得するので、そのネーミングに落ち着いたようだ。

環境を変えるのではなく、個人の感覚を変化させる事でこのゆっくりとした滅びから自分の身と心を守れば良い、と。

「まあ、気軽に試してみたら?私これのサイト運営しているから。」

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